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六国見山


 六国見山は、北鎌倉駅から見て、円覚寺の奥に位置します。
標高147.4mと、鎌倉では2番目に高い山です。
山の上から、かつて「6つの国」が見渡せたとされることが、
その名の由来となっています。
ササのトンネルなどがひなびた味わいを醸し出す、秋がお薦め。
ここでは、北鎌倉から展望台を通り、
切通しを抜けて大船へ向かうバス停に至るコースをご紹介します。

地図
 

素掘りの洞門の画像 【素掘りの洞門をくぐる】
 出発は北鎌倉駅。大勢の観光客が向かう方面とは反対側なので、行楽シーズンでも、辺りの静かな風情を楽むことができます。
 まずはJR横須賀線北鎌倉駅の円覚寺側にある臨時改札口を出た後、向かって左手の大船方面へ、ホーム沿いに進みましょう。岩に穿たれた、素掘りの洞門をくぐり抜けていきます。最初に現れる踏み切りのところで右折し、民家の間の落ち着いた雰囲気の路地を北上します。

 

長窪の住宅地の画像 【長窪の住宅地】
 階段を上りながら振り返ると、晴れた日には富士山が見えることもあります。坂を登りきり、いったん住宅地へ出ます。すぐに現れる「至六国見山」の道標に沿って進みましょう。丘の上に広がる谷戸あいの住宅地は、かつては畑がのびやかに続いていたところで、長窪という地名がぴったりくる場所でした。谷戸の最奥は、奥込(おっこみ)と呼ばれ、かつてシカやキツネ、ウサギなどを谷間から追い上げ、網や落とし穴で捕獲した狩場の名残といわれています。2002年から宅地開発が行われ、今のような住宅地となりました。
 右手・南側の緑地は、山号を瑞鹿山と称する円覚寺の裏山に当たります。草創の折、開山・無学祖元の説法を聞きに白鹿が現れたという伝説の地です。向かって左手・北側に見えるのが、これから登る六国見山です。

 

ササの道の画像 【ササのトンネルを抜けて】
 いよいよ、山道に入ります。秋なら、途中ではクリのイガやドングリなどが落ちているかもしれません。スギ林を抜け、やがてササのトンネルへ。ウグイスはササやぶに巣をつくることもあり、秋から冬に歩けば、チャッ、チャッという地鳴きが聞かれることもあります。
 この辺りは、もう6.9haの六国見山森林公園の一角で、アズマネザサの群生をはじめとする動植物の生息環境を守るよう整備されたところです。

 

展望台の画像 【六国見山展望台】
 ふいに視界が開け、展望台へ。晴れた日なら目の前に江ノ島が浮かび、三浦半島、伊豆半島、丹沢の山並みまでが見渡せます。『風土記稿』で「郡中第一ノ壮観ナリ」とたたえられた景勝の地です。六国見山の名の由来は、明治初期までの区制で相模、伊豆、甲斐、武蔵、上総、安房の六国が一望できたことに由来するとか。2007年に展望デッキが整備され、パノラマの景色と地名を照らし合わせられる看板もできました。(写真は講座のときの様子)
 そばには「浅間大神」の碑が立っており、かつて山を信仰の対象として仰いだ人々がいたことを教えてくれます。この展望台の周囲だけがこんもりとした小高い丘になっていますが、これは富士信仰の富士塚で、富士山を神格化して土を盛ってつくられたものと考えられています。辺りにはサクラの木が多く、春のお花見散策も楽しめそうです。

 

塚の画像 【児塚(稚児墓)】
 今回歩く道筋では、山頂から北へ伸びる道を下って大船方面を目指しますが、児塚(稚児墓)を見るため、いったん東南に向かって進みましょう。道標に従い森の中の尾根道を80mほど歩くと、古樹の根元に石塔があります。中ほどが失われ、基壇の上に直接笠と宝珠が乗っている宝篋印塔(ほうきょういんとう)です。
 この塔は、奈良時代ごろの由比の長者・染屋時忠の子の墓といわれています。染屋時忠夫婦は、熱心に仏さまに祈ってやっと子どもを授かったにもかかわらず、子どもをワシにさらわれてしまったと伝えられています。その子が奈良東大寺まで運ばれて高僧に見つけられ、立派な僧として育てられた末に、わが子を捜し求めていた夫婦と再会し、親子ともども相模の国に戻り、幸せに暮らしたということです。

 

高野の切通しの画像 【高野の切通し】
 このまま東へ進めば、住宅地を経て明月院を経て北鎌倉駅に出られますが、ここでは引き返して山頂へ戻り、北の大船方面に向かいましょう。
 山道を経て、向かって左手の階段を下ると住宅地に出ます。車道を右手に歩き、大船高校の下・西側へと回り込みましょう。再び山道へ入り「本村を経て大船へ」と書かれた道標に従い進むと、道の脇に垂直の岩壁が現れ、高野の切通しに出ます。かつて山内荘と六浦荘を結んでいたといわれる道です。秋に落ち葉をザクザク踏んで歩くのも楽しいものです。
 切通しが尽きると、再び住宅地へ出ます。道を下りきり、十字路を右折した後、道に従い西に進んでいくと、やがて常楽寺バス停に着きます。ここからバスに乗り、大船駅に向かいましょう。

 

夕暮れの画像 【北鎌倉の緑に思いを馳せて】
 禅寺を懐に抱き、頂上からの見晴らしも良い六国見山は、古来、付近の井戸水などの水源となってきた山でもあります。緑濃い円覚寺のさらに奥にこうした山があることを思うと、横須賀線の車窓から何気なく見やる景色も、より奥深いものになってくるかもしれません。

 

【交 通】JR横須賀線北鎌倉駅より徒歩
【行 程】北鎌倉駅円覚寺側臨時改札口→最初の踏み切りで右折・北上→道標に沿い右折→住宅地を左手に進み山道へ→六国見山展望台→東の道へ80m→児塚→展望台へ戻り北へ→階段を降り大船高校の下へ→高野の切通し→常楽寺バス停(約3時間)
【トイレ】 北鎌倉駅を出発した後、コース上にはなし
【その他】
・鎌倉市のHPにも、地図やアクセスが紹介されています。

リンクボタン

→「課名から探す」
→景観部公園海浜課
→公園海浜課ホームページ→「公園紹介」


・六国見山の湧き水を暮らしに使っていらっしゃった方のお話を、「聞き書き〜湧水のある暮らし」のコーナーでご紹介しています。

※参考文献…御所見直好,1983『誰も知らない鎌倉路』集英社
      鎌倉市教育研究所編,2000.『かまくら子ども風土記』.鎌倉市教育委員会
      鎌倉市公園海浜課ホームページ


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