Nature in Kamakura

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鎌倉広町緑地


 七里ガ浜から腰越辺りにかけて、
約48.1haもの森が残されているのをご存知ですか。
鎌倉広町緑地とか、広町の森とか呼ばれているところです。
斜面の樹林地から谷底の水辺まで、
谷戸の多様な自然環境が一体的に残されている、
市内でも貴重な緑地です。

地図

 

春の谷戸の画像 【保全の歴史】
 さまざまな生きものをはぐくむ豊かな自然の残るこの森には、かつて、開発計画がありました。広町緑地に開発案が発表されたのは、昭和48年(1973)のことです。以来、地域の皆さんが森を守ろうと運動に取り組み、開発か保全かは、20数年来の課題となっていました。大勢の方々の努力が実り、平成14年(2002)10月に、土地の大半を所有する事業者と市との間で、保全に向けた基本的方向性が確認されました。広町の緑は、「主に動植物の生息地または生育地である樹林地などの保護」を目的とする都市公園の種別の1つ「都市林」として、保全・活用が図られることになっています。平成15年(2003)には、鎌倉市が、(仮称)鎌倉広町緑地約48haについて、基本構想を策定しました。16年(2004)には基本計画が確定し、17年(2005)に都市計画決定されました。平成26年度末(27年3月ごろ)をめどに、公園として開園される予定です。

 

道の画像 【出発の前に】
 ここでは広町の森の概略をご紹介しますが、整備されていない場所が多く迷いやすいため、市民団体などが開催しているイベントなどに参加すると安心です。特に尾根の上のコースはわき道が多く迷いやすいので、道を知っている方に案内していただいてください。入口から続く平坦な道を散策するだけなら、迷う心配は少ないでしょう。
 辺りを踏み荒らしてしまわないよう、道から外れないように歩くのが、自然にやさしい歩き方です。そして、どうか動植物を持ち去らないでくださいね!

 

二又川の画像

【川を眺めて水源の森へ】
 まずは湘南モノレール西鎌倉駅から南下し、バス停白山橋そばのファミリーレストラン脇の道へ入ると、神戸川の支流、二又川のそばに出ます。これから向かう広町の森を水源とし、江ノ電腰越駅前を経て、片瀬の海に流れ出る川です。二又川は、昔からの自然が残る形で整備されており、以前、近隣の小学校の児童たちが生きもの調べをしたときには、ヨシノボリやモクズガニ、オニヤンマのヤゴなどが見られました。ここにかかる橋は五郎丸橋といい、近くに、源頼朝の側近だった御所五郎丸の館があったといわれています。五郎丸橋を渡り、タブの木の列に沿った細い道を進みましょう。ずっとまっすぐ進んでいくと、警察犬訓練所の前へ通り、広町の森入口に着きます。

 

田んぼの画像 【市民の力で復活された御所ガ谷の田んぼ】
 目の前をぐるりと囲むように広がる山並み。森の入口は、その合間にひだのように刻まれた谷戸の底にあります。鎌倉広町緑地は、谷戸全体の自然が一体的に残されている、鎌倉の中でも貴重な緑地です。左手(東)と正面(南)に向かって伸びている、二本の土の道がありますが、まずは左手の御所ガ谷方面へ進んでみましょう。
 谷戸底の中央に広がる湿地帯や野原は、かつては一帯が田んぼでした。近代化とともに耕作する方が減り、最後まで耕作が行われていた入口付近の田んぼも、1998年ごろには休耕田となりました。広町緑地の保全が決まった後、地域のボランティアの皆さんが、地元の方に指導を受けながら再度田んぼを耕して、2006年には、再び田植えが行われるまでになりました。大人も子どももどろんこになって汗を流し、その周りをトンボがスイスイ。いきいきとした里山の原風景が、蘇ってきているようです。

 

ハンゲショウの画像 【涼を呼ぶハンゲショウの湿地】
 川沿いの道を、さらに進んでいきましょう。6月ごろなら、道端に甘いクワの実がなっているかもしれません。秋には道端にジュズダマの実がなっていたり、地面にドングリが落ちていたり。生き物たちと身近にふれあえる小道です。大きなメタセコイアの木のそばを過ぎると、広場を通り過ぎて、さらに進んでいきましょう。やがて、前方の道が細くなり、右手に折れるわき道が現れます。この辺りは、緑色の葉の一部が、夏に白い色に変わるハンゲショウという植物の茂る湿地です。かつて暦で半夏生といわれた7月2日ごろ、葉が半分お化粧したように白くなることなどから、この名がついたといわれています。花はあまり目立ちませんが、虫に花粉を運んでもらって受粉できるよう、同じ時期に葉を白くして虫を誘うのではと考えられています。
 近年、谷戸の乾燥化が進み、湿地に生えるハンゲショウには、すみにくい環境になってきているようです。湿地を歩いて土を踏み固めると、水がしみこみにくくなり、さらに乾燥化が進んでしまうので、道から観察させていただくだけにしましょう。

 

池の画像 【谷戸の奥の小さな池】
 この辺りの谷戸の奥までは、人もあまり入らず生きものたちも安心しているのか、小鳥たちの声もよく響いてきます。ハンゲショウの湿地の手前で、右手(南)に折れて谷戸底を横断すると、池のほとりに出ます。早春、ヒキガエルのひも状の卵や、オタマジャクシなどが見られるところです。森に降った雨水が谷あいからしみ出た「しぼり水」は、こうした1つ1つの枝谷戸から集まって、豊かな水辺環境を生み出し、かつては一帯の田んぼをうるおしていたのでしょう。この環境に長い時間をかけて適応した生きものたちが、いつまでも元気で暮らしていけることを願ってやみません。
 池のそばから、斜面を登る急な道が続いています。これからご紹介するこの山道を登るコースは、尾根の上に出た後、わき道が多くあり迷いやすいので、道に詳しい方に案内していただくようにしましょう。道に不慣れな方は、池まで来たら森の入り口へ引き返すのが無難です。

 

石切場跡の画像 【石切場跡】
 池のそばの山道を登っていくと、山の中腹の左手に、岩が垂直に切り立っている場所が見えます。ここは、かつての石切場といわれています。また、広町緑地一帯は、その大部分が「竹ヶ谷城跡」の範囲内にあり、中世の遺構が残る場所といわれています。竹ヶ谷城は、「鎌倉城」の外郭をなす山々に戦略拠点として構えられた砦の1つで、古東海道からの出入口としての役割をもっていたと考えられているようです。

 

稚児桜の画像 【稚児桜】
 さらに登ると、なだらかな尾根道に出ます。T字路を右折して、西へ向かいましょう。ヤマザクラやコナラやなどが道端に生える、比較的太い山道を進みます。途中で、サクラの大木の場所を示す道標を見つけたら、右折し、北へ進む形で、そのわき道へ入ります。やがて小さな広間に突き当たり、その奥に、10本以上の幹をくねらすように生やす、サクラの巨木が立っています。稚児桜と呼ばれるもので、昔、五つの頭をもつ龍に、津村の長者の子ども16人が飲み込まれ、人々は丘の上に咲いたサクラを塚になぞらえたと伝えられています。

 龍にまつわる伝説はほかにもあり、広町辺りの一帯の緑地は、昔、江の島弁才天と夫婦だった龍の体が変じたものともいわれています。昔、深沢に、子どもを食べるなど、悪事を繰り返していた龍がいました。あるとき、海の上に轟音とともに江の島が現れ、美しい天女さま・江の島弁才天が降りてきました。龍は結婚を申し込みましたが、「あなたのような者とは結婚できません」といわれ、改心すると約束しました。龍は天女と結婚し、約束どおり、台風や津波を押し返すなど、人々のために尽くしました。しかし、そのたびに、龍の体は衰えていきました。やがて、龍は「私はもう力尽きました。これからは山となってあなた方をお守りしたい」と言うと横たわり、その体は山になったといわれています。

 古来、自然への畏敬の念を持ちつつ、大切に守り育ててきた人々の思いが、この伝説には込められているのかもしれません。多くの方々の努力が実り、保全された鎌倉広町緑地。竜神様が、いつまでもこの森と、森を大切に思う人々を、見守ってくださることでしょう。

 

ササのトンネルの画像 【ササのトンネル】
 稚児桜を見たら道を戻り、再び尾根道を西へ進みます。次第に、背の高いアズマネザサが道の両側に茂るようになります。ここで分岐点を右手に曲がりササのトンネルをくぐって大きなエノキの木の脇や倒木のを通って北へと下れば、竹ヶ谷の谷戸底へ出て、出発地点近くの広場に戻ることができます。

 

キリの画像 【キリの巨木】
 ササのトンネルのところで曲がって下りずにまっすぐ進むと、たくさんのわき道や荒れた道を経て、七里ガ浜2丁目付近の入口のそばに出ます。この辺りの広場からは、5月のゴールデンウィークのころ、山中に咲く薄紫色の見事なキリの花が見晴らせます。キリの花を見るなら、七里ガ浜二丁目住宅地から山道を入るコースをとれば、2分足らずで現地に着くため、迷わずにすみ安全です。
 さらに道を西へ進み、室ヶ谷への分岐点を通りすぎ、野原を越えて(夏季は草が生い茂るのでおすすめしません)小竹ヶ谷に降りると、やがて警察訓練所そばの森の入口に戻ることができます。

 

竹ガ谷の画像 【豊かな森を未来へ】
 さまざまな生きものたちが暮らす広町の森。もし開発計画が遂行されていたら、四季折々の美しい景色、土地に古来伝わってきた伝統文化、多くの生きものたちにも、私たちは出会うことができなくなっていたことでしょう。当たり前のようにそこにある自然が、実は多くの人のご努力によってこれまで守られてきたことを、この鎌倉広町緑地は教えてくれます。
 市では平成26年(2014)ごろに都市林公園として開園することを目指し、市民の声を反映しながら、豊かな自然環境を保全するかたちで整備を行っているようです。最近では週末になると、多くのボランティアの方々が集い、生きもの調べをしたり、保全作業をしたりと、めいめいに爽やかな汗を流す光景が見られます。こうして人も野生の生きものたちも、いきいきと集うすてきな森を、将来世代に手渡せたらと願ってやみません。

 

【交 通】湘南モノレール西鎌倉駅より徒歩→バス停白山橋そばにあるファミリーレストランわきの道を東へ→五郎丸橋を渡り東へ→警察犬訓練所前の広町の森入り口(西鎌倉駅から徒歩約20分)
【行 程】広町の森入り口→御所谷→池→石切り場→稚児桜→ササのトンネル→キリの巨木の見える展望台→竹ヶ谷→広町の森入口(約3時間)
【トイレ】土・日曜日は、警察犬訓練所そばの広町の森入口にあるものを使うことができます。このとき以外の最寄りは腰越行政センター
【その他】
 広町緑地内の道は、足場が悪く迷いやすいので、初めて訪れる方は、地 の市民団体が主催する観察会などに参加するようにしましょう。
●鎌倉広町の森市民協議会 さまざまなボランティア活動が盛んに行われていますので、参加してみてはいかがでしょうか
●広報かまくら サクラやキリを訪ねるハイキングや観察会の募集記事が、3〜4月ごろ、6〜7面のインフォメーション欄に掲載されることが多いので、確認してみてください

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●広町の四季だより
●かつて、この辺りで山仕事をしていた方のお話:
 「聞き書き」  →「さき山の山仕事」


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