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祇園山
ハイキングコース


  祇園山ハイキングコースは、鎌倉駅にほど近い、
なだらかな尾根歩きを楽しめるコースです。
3月ごろ、ヤブツバキやタチツボスミレの花々に会いに行きませんか。

地図
 

大巧寺の画像 【大巧寺】
 まずは、鎌倉駅の東口から東にまっすぐ進んで若宮大路を渡り、すぐ右手にある大巧寺の門を入ります。産女霊神が「おんめさま」と呼ばれるようになったもので、安産を願う人たちから信仰されています。こぢんまりした境内には、四季折々の花が咲きます。花々を愛でながら境内を通り抜けさせていただきましょう。裏側の門を出て、前方に見える尾根が、これから歩く山並みです。

 

滑川の画像 【東勝寺橋】
 突き当たりを左折して小町大路を北へ500メートルほど進み、宝戒寺の手前にある「北条高時腹切やぐら」を示す道標に従って、右(東方面)へ曲がりましょう。すぐに東勝寺橋に着きます。
 東勝寺橋は、大正時代に多くつくられたアーチ型の橋の1つ。この形の橋が現在まで残っているのは珍しく、市の景観重要建築物に指定されています。また、この辺りは、鎌倉時代の武士・青砥藤綱が、川に落とした銭10文が費えるのを惜しみ、50文のたいまつを買って探し出させたと伝えられる場所でもあります。
 橋の上からは、キラキラと輝く滑(なめり)川が見下ろせます。十二所と二階堂の山あいから流れ出て由比ガ浜の海へ注ぐ川。長さ5.6キロと、旧市内では一番長く、炭売川や閻魔川など、本流だけで六つ、支流も合わせると二十八もの名前があります。凝灰岩の川床の上を滑るように水が流れる様子から、滑川と呼ばれるようになったといわれています。
 丘陵と海に囲まれた鎌倉では、同じ市内で源流から河口まで見ることができ、海と川とを行き来するボラやアユ、モクズガ二などの生き物たちにも出会えます。

 

腹切やぐらの画像 【腹切やぐら】
 道を奥へ進み、土の道へ入りましょう。山のふもとに大きく口を開けた横穴があり、中にたくさんの卒塔婆や五輪塔が置かれています。この辺りは、元弘3年(1333)、北条高時らが、新田義貞の軍に追い詰められ自害した鎌倉幕府終焉の地とされ、横穴は「腹切やぐら」と呼ばれています。「やぐら」という山腹の横穴は、中世鎌倉独特の、谷戸地形を利用したお墓です。丘陵に囲まれた鎌倉では、武士や僧の墓として、山腹の岩肌をくり抜いたやぐらが至るところにつくられました。鎌倉とその周辺にだけみられ、室町時代には姿を消しました。
 早春には、うぶ毛に被われたシダの若芽がそこかしこに頭をもたげ、はかなく散った武士たちの魂を思わせます。特にこの辺りに多い「イノデ」というシダは、茶色い毛むくじゃらの若芽で、近づいてよく見てみると、その名のとおりイノシシの手のようです。

 

山道の画像 【妙本寺への分岐点】
 いったん坂を登り詰めたら、あとは比較的平坦で歩きやすい尾根道を、南下していきます。スギやスダジイなど、常緑の木々がうっそうと茂る森の道です。  やがて右手に現れる細い別れ道は、妙本寺へ下るものですが、ここでは曲がらず、そのまま直進しましょう。阿仏尼は、この比企谷のあたりに住みホトトギスの声を聞いたようで、『十六夜日記』の中で次のように詠んでいます。
 しのびねは ひきのやつ(比企谷)なるほととぎす くもゐに たかく いつかなのらん
 「特許許可局」と聞きなしされるホトトギスの声は、初夏になると今も鎌倉のあちこちで聞かれます。

 

タチツボスミレの画像 【小さなお花畑】
 木々がうっそうと茂る森では、枝葉に日差しが遮られて光が足りないせいか、シダがところどころに見られるくらいで、あまり草の種類は多くありません。そうした中でも木が倒れた跡などには空間ができ、光がスポットライトのように差し込みます。日溜まりの春の道ばたには、小さな花々が、ひしめくように咲き乱れています。薄紫のタチツボスミレや、カントウタンポポの黄色い花。うつむきがちに咲く2ミリほどの白い花は、ヒメウズです。
 かつて、枝払いなどがよく行われていたころには、日当たりのよい場所を好むこうした草が、一面に広がっていたことでしょう。やがて森の手入れがされなくなり、薄暗い森の中で光が足りず生育できずにできずにいた土の中の種などが、光を浴びて、花開いたもののようです。
 時代と共に生活様式も変わった今、昔と同じ形で手入れをするのは無理にしても、ところどころに、こうした昔に近い環境をつくり出すことで、多様な生き物のすむ豊かな自然に近づけることができるかもしれません。

 

タチツボスミレの画像 【祇園山】
 いよいよ、尾根の南端、祇園山に到着します。静かな山頂にヤブツバキの深紅の花が咲き乱れ、思わず息を飲みます。 ツバキは「艶葉木」「厚葉木」が転じた名ともいわれ、つややかな緑の葉が特徴。ヤブツバキは、その名のとおり、もともと野山に自生しています。社寺や人家の庭に植えられているツバキは3月ごろに見ごろを迎えますが、鎌倉のヤブツバキは早咲きで、特に日当たりの良い海沿いの森では12月から咲き出す様子が見られます。
 鎌倉は黒潮の影響を受ける温かい気候で、自然のままだと常緑樹のスダジイやタブノキが多く林をつくる区域に属します。この祇園山ハイキングコースは海に近いところにあり、特にヤブツバキが多くみられるようです。
 静かな花園の木立の間からは、由比ガ浜の海が見えます。ベンチに座って辺りを眺めていると、花の奥までくちばしを突っ込んで蜜を吸ったのか、顔を花粉でまっ黄色にしたヒヨドリに出会うこともあります。

 

八雲神社の画像 【八雲神社】
 山道を下ると、鎌倉最古の厄除け神社とされる八雲神社に出ます。祇園神社とも呼ばれ、祇園山の名の由来となっています。寛文10年(1670)の銘がある庚申塔は、鎌倉市の有形指定民俗資料です。境内には、クスノキの大木や、御岳神社の社もあります。門を出た後、右折して北に向かいましょう。再び出発時に歩いた大巧寺を通ると、鎌倉駅に戻ります。
 駅から歩いて10分ほどのところに今も残る、静かな自然林の山並み。鎌倉のまちに、どこかしっとりと心安らぐ雰囲気が漂っているのは、散策の途中でふと目に入る、こうした緑のおかげかもしれません。

 

【交 通】鎌倉駅東口より徒歩
【行 程】鎌倉駅(徒歩5分)→大巧寺(徒歩15分)→東勝寺橋(徒歩5分)→腹切りやぐら(徒歩20分)→妙本寺(徒歩10分)→祇園山(徒歩10分)→八雲神社(徒歩15分)→鎌倉駅
【トイレ】鎌倉駅、妙本寺にあり

※引用文献…
鎌倉市教育研究所編,1998.『鎌倉の自然』鎌倉市教育委員会
鎌倉市教育研究所編,2000.『かまくら子ども風土記』.鎌倉市教育委員会
ぼたもちでら常楽寺縁起


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